カテゴリ: travel
今週のお題「私の年末年始」
あけましておめでとうございます。総武本線の東京駅から銚子駅まで、線路沿い約 150km を踏破しました。29 日の昼ごろ出発して、1 日の 6:00 前に銚子駅に到着しました。その様子を振り返りたいと思います。目標は 2 つ。「総武本線東京駅~銚子駅間を線路沿いに踏破する」と、「初日の出を関東最東端・犬吠崎にて拝む」です。銚子市のホームページによれば、
関東最東端の犬吠埼は、山頂・離島を除き日本で一番早く初日の出を見ることができます。 日本の最東端は北海道根室市の納沙布岬ですが、季節により地軸の傾きが変化することから、冬季(元日前後の10日間)に限っては、銚子市の犬吠埼が一番早く初日の出を見ることができます。
とのこと。これは歩いていくしかない。この踏破劇の様子は、 Twitter ハッシュタグ #銚子まで歩くにて実況していました。年始暇すぎてどうしようもない、という人は見ていただけると幸いです。
1 日目は東京駅~本八幡駅と、営業キロで 17.4km とだいぶ楽ちんなコースでした。まずは足慣らしといったところ。
僕は東京駅出発でしたが、同行者 A くんは「中央・総武線含め踏破したい」とのことで三鷹駅出発でした。 彼と錦糸町駅で待ち合わせる関係で、僕は 13:00 ごろ東京駅を出発。 馬喰町駅を超えたあたりで京葉道路に入りました。隅田川を越えるタイミングで見えたスカイツリーが綺麗だった。
両国で自転車に乗った力士さんとすれ違いました。 僕のほうが 30 分ほど早く錦糸町駅に着いてしまったため、しばし錦糸町駅で休憩。 16:20 頃 A 君と合流。ここから物井駅までは 2 人での旅でした。
歩き始めて 1 時間くらいで日が暮れ始めた。 こちらは蔵前橋通り、小岩駅の手前から撮影したスカイツリー。スカイツリーはここまでの道中ほぼずっと左手に観えていただけに、「もう今年はスカイツリーを見ることは無い」としみじみしながら撮影しました。
小岩駅の手前でアクシデントが。同行していた A 君の靴が長距離歩行に向いていなかったらしく、足に痛みが発生。 大変運の良いことにちょうど小岩駅に ABC マートがあったため、靴を交換しました。 ちなみに A 君は、これまで東京~箱根などを踏破した経験を持つ実力者。今回の旅行の発案者でもあります。 靴交換後は元のペースに戻り、無事千葉県に入りました。暗さのせいもあって、だいぶ写真ぶれてる。
千葉県に入ってからおよそ 1 時間、本八幡駅に到着。「魂麺」にてつけ麺をいただきました。
初日ということで宿はカプセルホテル。大浴場の温泉でだいぶ体力を回復することができました。筋肉痛が予想されるふくらはぎに湿布を貼り付けて就寝。
2 日目は佐倉駅を目指しました。最短コースをとると大した距離ではないのですが、総武本線を踏破するという目標があったため、迂回して千葉経由で向かいました。終盤に 3 人目の参加者、 @echo_hamasho23 が参戦します。
前日の夜に熱いお湯に浸かったお陰か、足の疲労はだいぶ回復。筋肉痛による若干の違和感こそありましたが、歩きに支障が出るレベルのものではありませんでした。 この区間はとにかく歩くことに集中していたようで、あまり写真が残っていません…。
船橋駅。駅自体は大きいのですが、途中の道がくねくねしていたこともあり、意外な難所でした。この後歩くことになる様々な区間に比べたら比較にもなりませんが…。
今回歩いた中で、僕は「こんな家に住みたい!」というところを探そうと思っていたのですが、一番良さそうな家がこの区間にありました。 プライバシー等のために写真は掲載しませんが、幕張本郷~幕張間にあったログハウスです。線路に面した高台にあって、屋根にはアマチュア無線用と思われるダイポールアンテナが立てられていました。あとスカパーのアンテナもあった。素晴らしいです。
幕張駅にはこんな休憩スペースがありました。電車の座席を切り取った形。休憩する A 君です。ちなみに幕張本郷駅の近くには車両基地があって、普段見かけない車両が多数停まっていてテンションが上がりました。俺だけか。
途中、千葉大学の正門で記念撮影。冬休みのためか、閑散としていました。 千葉大学の近くで「ラッキー西千葉店」を発見。その昔、QMA というクイズゲームにはまっていた頃にしばしば目にしたゲームセンターの店舗です。全国ランキングの常連さんを輩出していました。
千葉駅付近ではジェフ千葉の応援ポスターが目に入りました。今回の道中唯一見かけたサッカー関係のポスター。
都賀駅に到達するあたりで日が暮れ始めました。日が暮れると、精神的ダメージがだいぶ大きかったです。まだ四街道駅・物井駅・佐倉駅と 3 駅残っていたので若干心配に…。 四街道駅~物井駅の間でなぜか靴紐が頻繁にほどけるようになってしまいました。なんだか幸先が悪いと思ったので、道祖神さんで道中安全をお祈りしました。
物井駅に到着すると、駅構内切符売り場の料金表が簡易表記に。東京から離れつつあることを実感します。ちなみにこの段階で、銚子駅までは 1,110 円。 しばらく待っていると @echo_hamasho23 を乗せた総武本線が到着。この後本日最後の区間物井駅~佐倉駅を目指しますが…。
Google ストリートビューで表示した、物井~佐倉間の景色です。このような道を、完全に日が落ちてから歩きました。ちなみに、矢印の表示からもわかるようにこの地点がストリートビュー表示の限界で、もっとやばい道はここより後ろにあった。 「狩猟禁止」のような物々しい看板も立っているし、人影はもちろん街灯すら無いので大変不安な道のりでした…。 足元も良くないし、何より熊とかが出そうで本当に怖かった。 @echo_hamasho23 は完全に出鼻をくじかれた形。何事も無くて本当に良かった。
なんとか佐倉に到着したのは 20:00 頃。夕食を取り買い出しを経て、0:00 頃に床につきました。この日はビジネスホテル。
翌日は朝からほとんど寝ずに初日の出まで歩かなければならないことが解っていたので、睡眠の質は大変重要。ベッドの質にこれほど感謝した日は無かったかもしれません。
大晦日のこの日は、佐倉駅前のホテルを 7:00 頃に出発。まずは 20km ほど離れた旭駅を目指しました。当初の目標は 21:00 の旭駅到着です。
佐倉駅から旭駅に直接向かおうとすると、最短のルートは県道 77, 45 号を使うルートとなります。しかし、「総武本線を踏破したい」という目標と、この日までのコンディションがそこまで悪くなかったことから、当初の計画通り線路沿いに歩くことを決定しました。
佐倉を出発したのが日の出の直後だったことに加えて、目指す方向が東寄り(実際には南東)だったので、最初は日の出を見ながら歩くという具合でした。
成東駅以降は国道 126 号線が旭駅までほぼ線路沿いに続いているのに対して、佐倉~成東駅は舗装されていない道を多く通る必要がありました。この区間を昼間に歩けてよかった。
南酒々井駅は無人駅ですが、看板に面影があって大変良かった。今回歩いた区間の中で最も好きな駅看板かもしれない。
成東駅の到着目標は 12:00 でしたが、実際に到着したのは 12:13 頃。 12/31 の第 1 休憩ポイントです。写真は撮りそこねてしまいましたが、日向駅~成東駅間は久々に線路沿いを長く歩くことができて、一番楽しい区間だった。
駅からやや南に外れたところにガストがあったので、ここで昼食を兼ねて 1 時間ほどの休憩。このピザが後々災いをもたらすのであった…。
成東駅から旭駅の間は、先述したとおり国道 126 号線に沿って歩くことができます。国道ということで昨日の物井駅~佐倉駅のようなことは起こらないだろうととりあえず安心。
成東駅~松尾駅間で初めて、道路の行き先表示に「銚子」の文字が現れ(たのに気付き)ました。
成東から本日 2 番めの休憩ポイントと定めていた旭駅までは 6 駅あるのですが、そのちょうど半分にあたる飯倉駅~八日市場駅付近で異変が。胃が痛くなってきてしまったのです。僕は急いでものを食べた時に胃が痛くなることがあって、それが発生してしまった様子。そういえば僕は 1 週間前にインフルエンザにかかったばかりでした。一番辛かった頃は下を向いてしか歩くことができなくなってしまい、途中で何度か 2 人に声をかけて休憩をとってもらっていました。結果として旭駅には予定から 40 分ほど遅れの 21:40 くらいに到着。
「絶対に1人ではここまで来れなかったな」とは、この旅の中で何度も考えたことですが、この区間ほど 2 人に支えられたことはなかったと思う。
さて、旭駅では近くのビッグボーイで休憩をとりました。ハンバーグ・ステーキのお店です。ビッグボーイに到着する頃には安堵感も相まって身体の具合はだいぶ良くなっていました。食欲はなかったために食べ物はパスしてひたすら温かい飲物を飲み続けました。ちょうどこのタイミングで、僕の体調事情を知らない東京にいる友人の K 君より「胃に負担がかからないよう温かいものを」というアドバイスが届き、なんとタイミングの良いことか、と感動を覚えました。
ビッグボーイ店内で新年を迎え、隣接していたコンビニで RedBull を購入の上銚子到達を願って乾杯。いよいよ最終章に突入です。ビッグボーイ出発は 0:10 頃でした。
旭駅以降は国道 126 号が総武本線をそれてしまうため、県道 71 号線に入りました。この区間で一番楽しかったのは最初の旭~飯岡で、明かりが少ないこともあって本当に星が綺麗に見えました。流れ星も見えるくらい。
カシオペア座を観ながら、「総武本線に似てる!」とか言いながら歩いていました。まだ休憩による体力回復の効果が残っていたのでしょう。
次の飯岡~倉橋駅間で状況は一変します。前もって地図では確認できていなかったのですが、この区間は非常にアップダウンの激しい場所でした。標高差が最大で 50m もあるような区域があって、一気に足腰に疲労が溜まります。僕は幸いにしてマメが出来なかったのですが、残る 2 人はここでだいぶ足にダメージを受けてしまったようでした。
そんな訳で、猿田駅到達時には寒さも相まって皆かなり疲弊し、口数も少なくなっていました。実は、次なる猿田駅~松岸駅こそ、昨晩「最も厳しいのではないか」と話し合っていた区間だったのです。というのも、 Google Maps などで確認する限り、道らしい道が少なかったからです。
猿田駅到達時点で残り 2 駅に迫っていたこともあり、ここで我々はある決断をします。それは、「猿田駅~松岸駅の最短ルートをとるのではなく、迂回してでもまだ安全なルートと思われる県道沿いを行く」というものです。
こちらは倉橋駅~猿田駅間の様子ですが、このような道を真暗闇の中歩く心細さをなんとなく理解いただけるかと思います。心身共に疲れきっていた我々は、先の物井駅~佐倉駅の経験も踏まえ、安全なルートを採用しました。この判断が、後の壮絶な強行軍へと繋がる伏線となっていたのです。
迂回経路をとったため、実際には猿田駅~松岸駅の間に椎柴駅(成田線)を経由しました。ところが、この猿田駅~椎柴駅間も起伏が激しく、かつ足へのダメージが蓄積していたため、かなりの時間を要することになりました。
今回の旅では「駅で休憩をとる。必要に応じて駅間でも休む」という方針で休憩をとっていましたが、もはやこの頃になると時間との戦いが始まってしまいました。そう、「初日の出を本州最東端・犬吠崎にて拝む」という目標に対する戦いです。松岸駅到達時点での時刻は 5:15 で、 Google Maps による松岸駅~銚子駅の徒歩に寄る所要時間は 健康な人間の歩行速度で 39 分。対して犬吠崎でぎりぎり初日の出を拝むためには、銚子駅を 6:17 に発車する銚子電鉄に乗車する必要がありました。もはや駅休憩をとることすら躊躇するほど、余裕は無くなっていました。
最も疲労が激しいと思われる人が順々に先頭に立つ「登山の隊列」を取り、各自最も励まされるような音楽を聞き、信号待ちの間に自販機で購入したエナジードリンクを分けあい、これまでに踏破してきた駅名を思い出し、時には互いの肩を貸しあい、そして体育会系もびっくりするような奇声を発しながら、とにかく歩みを東へ、銚子へ、初日の出に向けて進めました。そして…!
2014 年 1 月 1 日、 5 時 58 分。ついに総武本線踏破の瞬間です。駅では成田山で初詣後、電車で駆けつけてくれた @bon_tw2 が犬吠埼への切符を手に待ってくれていました。今年に入って初めて抱き合った相手が男だらけでしたがそんなことはどうでも良い。最高の初日の出に最高の形で到達できた。そんな想いでいっぱいでした。
— alea12 (@alea12) 2013, 12月 31
@bon_tw2 君が購入してくれた切符を片手に、銚子電鉄に乗り込んだのが 6:10 頃。「もう 1 歩も歩けない!」と絶叫しながら電車のシートに崩れ落ちました。揺られること 20 分弱、電車は犬吠駅に到着。既に駅周辺は初日の出を関東最東端で拝もうという人で賑わっていました。その群に混ざり、悲鳴すら上げることのできなくなった足を文字通り引きずり、そしてそのような歩き方を周囲に不審な目で見られながら、海岸線を目指します。
初日の出の予定時刻は 6:47 でしたが、到着は海岸到着はぎりぎりの 6:42 でした。もう一枚の歓喜の瞬間がこちら。
初日の出直前の写真です。そして、この 3 日間、苦しい時に瞼の裏に浮かべて励みにし続けた瞬間が…!
22 年 8 ヶ月生きてきて、間違いなく最高の初日の出でした。今後もこれ以上の初日の出は簡単に見られないと思います。これまでの 150km が脳裏をよぎり、様々な方々の応援が思い起こされ、そして新年の訪れを告げる暁光に全身を刺激される、かつてない体験でした。
今回の旅の発案者であり、僕を誘ってくれたのは彼でした。僕の誕生日に円周率 100 万桁の本を贈ってくれたり、東京から箱根まで歩いたり、初めてのサッカー観戦でゴール裏に行きたがったりする本当に変わった後輩なのですが、一生忘れられない旅のお供をできました。ありがとうございました!
はましょー! おそらく物井駅~佐倉駅で最も帰りたいとおもっていたのは彼だと思います。途中参戦ながら、天文同好会での経験を活かして星空の解説をしてくれるなど、彼が参戦してから士気が大いに上がりました。乾電池を調達してきてくれたのもとても助かった。どうもありがとう!
銚子駅で僕等を待ち受けてくれていた恩人ですが、手に持っていたのは犬吠駅行きの切符だけではありませんでした。彼の鞄の中には大吟醸が! 最高の初酒をありがとうございました。忙しい日程の中折り合いをつけて、瀕死の状態になった僕らを迎えてくれて本当にありがとう!
本当は彼も銚子で合流してくれる、と言ってくれていました。本当にありがとう。アキレス腱痛により自宅安静とのことでしたが、道中様々な形で我々を激励してくれました。特に僕の胃がダメージを受けることを予期したようなメッセージには心底驚いた。どうもどうもありがとう!
Twitter に関しては、今まであまり交流の無かったような方々から激励のお言葉をいただくケースも多く、休憩のたびにリプライを見ることがひとつの励みになっていました。本当にありがとうございます。書き漏れなどあったらすみません。その際には @alea12 まで罵詈雑言のメッセージをお寄せください。
この記事 20,000 字以上あるらしいけど、今月中旬締切の卒論まだ 0 文字だ。